少子化対策を声高に叫ぶ人たち
日本人の人口が減少に転じたと、予算編成のこの時期に発表する。「少子化対策」を錦の御旗に予算をつけようとする意図がみえみえなわけだが、それを指摘することなく持論を展開する人の多いこと。まったく抜け目のないことだ。
まず、出生率は厚生労働省の人口動態統計より参照することができる。合計特殊出生率というのは、50歳になるまでに1人の女性が出産する子供の数は実際に50歳になるまでわからないわけだが、それだといつまでも答えが出せないため、15歳から50歳までを5歳づつで区切って求めた出生率を単純に前世代にわたって合計したものである。外国と比較したり、前年度と比較したりする相対的な意味で使う。ライフサイクルが変化している場合には、10年前との比較すら適切かどうかはわからない。まして、絶対的な意味などないし、将来を予測するものでもない。
既婚者の出生率が2.33だからといって、未婚者が主な原因というわけでもないだろう。婚姻件数は確かに下がっているが、団塊の世代を除いては急速な変動はない。着実に上昇しているのは離婚件数であるが、婚姻件数から離婚件数を引いた数はその年で増加した夫婦の数であって、直接子供の数とは関係ない。
市区町村別の合計特殊出生率を見ると都市部で子供が少ない。
このあたりまでがソースのある情報。次に巷の意見
経済的負担が大きすぎる→援助金を出せ
出産による生涯賃金の損失は6000万円を超える。→母親の就職を優先しろ
子供が生まれないのは、環境ホルモンによる生態系への影響→自然環境を守れ
そもそも、成長しきった文明は絶滅に向かう→移民を受けいれろ
とてもたくさんの理由により結婚しない。→とにかくアタシの話を聞いて
すべてが無関係とは言わんが、各人の要求事項がばらばらなのがなんとも。